2.ユースケース図
この章では、ユースケース図について説明します。
UML 2章 ユースケース図
- 2.1 ユースケース図
- 2.2 ユースケース図のコンポーネント
- 2.3 ユースケース図の例
- 2.4 ユースケース図のメリット・デメリット
2.1 ユースケース図とは
ユースケース図は、システムに対する要件を特定するために使用する図です。システムがどんな機能を持つのか、操作した場合にどのように反応するのか、システムの外部からみた振る舞いをわかりやすい図で表します。ユースケース図は、通常システム開発初期の要件定義の段階で使用します。
2.2 ユースケース図のコンポーネント
ユースケース図は、以下の3つのものでシステムの振る舞いを表現します。
- 対象
- アクター
- ユースケース
対象とは、ユースケース図で表現したいシステムを指します。アクターとは、対象の外部の存在で、対象に対して何かの処理を行うもののことを言います。システムを操作するユーザや対象のシステムにデータを送信する他のシステムなどは、アクターと呼ばれます。アクターが対象を操作したときに、対象がどのように振舞うのか、その振る舞いを「ユースケース」といいます。
「宿泊予約システム」を例に説明します。宿泊予約システムは、以下のようなシステムです。
「宿泊予約システム」とは、顧客がWebを通して宿泊の予約を行うことができるシステムです。 顧客は、宿泊予約システムを通して「宿泊予約」「宿泊予約の変更」「宿泊予約の取り消し」 「予約状況の確認」などの作業を行うことができます。 また、宿の管理者も「宿泊予約システム」を利用し、現在の予約状況を確認することができます。 さらに、宿泊予約システムでは、予約情報を随時、業務分析システムに送信します。
上のような宿泊予約システムの場合、「対象」「アクター」「ユースケース」は何になるでしょうか。まず、「対象」は「宿泊予約システム」です。それでは「アクター」が何になるのでしょうか。対象である宿泊予約システムを操作するのは、予約を行う「顧客」と予約状況を確認する「管理者」です。よって、「顧客」「管理者」はアクターになります。さらに、「宿泊予約システム」と情報のやり取りをする「業務分析システム」も、「対象に対して操作を行う外部の存在」ですので、アクターになります。最後に、ユースケースを洗い出して見ましょう。「宿泊予約システム」は、以下の機能を持つシステムです。
- 宿泊予約をする
- 宿泊予約を変更する
- 宿泊予約を取り消す
- 予約状況を確認する
- 予約情報を取得する
これらの機能が「ユースケース」です。まとめると、以下のようになります。
対象 | 宿泊予約システム |
---|---|
アクター | 顧客・管理者・業務分析システム |
ユースケース | 宿泊予約をする 宿泊予約を変更する 宿泊予約を取り消す 予約状況を確認する 予約情報を取得する |