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8. java.util.concurrentパッケージ2

2005.12.14 株式会社四次元データ 宮澤了祐

8.1. スケジューリング

JDK5.0より指定した時間後に処理を実行したり、指定した周期で処理を実行するスケジューリングが可能になりました。 スケジューリングを可能にするクラスは、java.util.concurrent.ScheduledExecutorServiceインタフェースを実装しています。

java.util.concurrent.Executorsクラスにある、ScheduledExecutorServiceを実装したクラスを返す、 スタティックなメソッドを利用することで、スケジューリングを行うことができます。

Executorsクラスに用意されている、スケジューリングのためのExecutorは、次の二種類です。

newSingleThreadScheduledExecutor()
一つのスレッドでタスク処理を行う。
newScheduledThreadPool()
タスクを処理するスレッドの数を指定出来ます。

スケジューリングを行うメソッドを以下で解説します。

schedule()

schedule(Runnable command, long delay, TimeUnit unit)

指定した時間が経過したのちに第一引数で指定したタスクを実行します。 時間の指定はTimeUnitクラスによって、秒、ミリ秒、マイクロ秒、ナノ秒の単位で定めることが出来ます。

タスクを送信した時刻、タスクを開始した時刻、タスクが終了した時刻を表示するタスクを定義し、schedule()メソッドで送信します。

import java.util.concurrent.ScheduledExecutorService;
import java.util.concurrent.Executors;
import java.util.concurrent.TimeUnit;

public class MyTask2 implements Runnable {
    int number;
    long start;
    public MyTask2(int number, long start){
        this.number = number;
        this.start = start;
    }
    public void run() {
        System.out.print("Task" + number + " Start");
        System.out.println("(" + (System.currentTimeMillis() - start) + ")");
        try {
            Thread.sleep(1000);
        } catch (InterruptedException e) {
            e.printStackTrace();
        }
        System.out.print("Task" + number + " End  ");
        System.out.println("(" + (System.currentTimeMillis() - start) + ")");
    }
    
    public static void main(String[] args){
        ScheduledExecutorService ex = Executors.newSingleThreadScheduledExecutor();
        long start = System.currentTimeMillis();
        for(int i=0; i<3; i++){
            System.out.print("Task"+i+" Send ");
            System.out.println("(" + (System.currentTimeMillis() - start) + ")");
            ex.schedule(new MyTask2(i,start),1000,TimeUnit.MILLISECONDS);
        }
    }
}
Task0 Send (15)
Task1 Send (15)
Task2 Send (15)
Task0 Start(1031)
Task0 End  (2031)
Task1 Start(2031)
Task1 End  (3031)
Task2 Start(3031)
Task2 End  (4031)

タスクが送信されてから1000ミリ秒後になって、初めて処理が開始されていることがわかります。

scheduleAtFixedRate()

scheduleAtFixedRate(Runnable command, long initialDelay, long period, TimeUnit unit)

タスクが送信されたのち、第二引数で指定した長さが経過すれば、タスク処理を開始します。 その後、タスクは順に処理されます。

タスク開始後、第三引数で指定した時間が経過していれば、タスク処理を再び開始します。 Executorが取り消されるか、アプリケーションが終了するまでタスク処理を周期的に実行します。

前項と同じタスクを使用します。

public static void main(String[] args){
        ScheduledExecutorService ex = Executors.newSingleThreadScheduledExecutor();

        long start = System.currentTimeMillis();
        for(int i=0; i<3; i++){
            System.out.print("Task"+i+" Send ");
            System.out.println("(" + (System.currentTimeMillis() - start) + ")");
            ex.scheduleAtFixedRate(new MyTask2(i,start),1000,10000,TimeUnit.MILLISECONDS);
        }
}

これは次のように出力されます。

Task0 Send (0)
Task1 Send (31)
Task2 Send (31)
Task0 Start(1031)
Task0 End  (2031)
Task1 Start(2031)
Task1 End  (3030)
Task2 Start(3030)
Task2 End  (4030)
Task0 Start(11029)
Task0 End  (12029)
Task1 Start(12029)
Task1 End  (13028)
Task2 Start(13028)
...

Task2が終了したのちに、Task0が再び実行されています。 実行されるのは、タスクを送信してからinitialDelay+Delay秒後です。 もしこの段階でタスクが終了していなければ、タスクが終了したのちに、新たにタスクが実行されます。

newScheduledThreadPool()を用いた場合でも、 全てのタスクが終了していれば、initial+Delay秒後にタスクを再び処理します。 その段階でタスクの処理が終了していなければ、全てのタスクを終了した後に、タスクの再処理を行います。 処理中でないスレッドがあった場合でも、全てのタスクが終了するまで待機します。

scheduleWithFixedDelay()

scheduleWithFixedDelay(Runnable command, long initialDelay, long delay, TimeUnit unit) 

指定した遅延時刻によって周期的に実行される点など、 scheduleAtFixedRate()メソッドと基本的には変わりませんが、タスクの再実行のタイミングが違います。

public static void main(String[] args){
        ScheduledExecutorService ex = Executors.newSingleThreadScheduledExecutor();
        long start = System.currentTimeMillis();
        for(int i=0; i<3; i++){
            System.out.print("Task"+i+" Send ");
            System.out.println("(" + (System.currentTimeMillis() - start) + ")");
            ex.scheduleWithFixedDelay(new MyTask2(i,start),1000,10000,TimeUnit.MILLISECONDS);
        }
}

次のように出力されます。

Task0 Send (15)
Task1 Send (15)
Task2 Send (15)
Task0 Start(1031)
Task0 End  (2032)
Task1 Start(2032)
Task1 End  (3032)
Task2 Start(3032)
Task2 End  (4032)
Task0 Start(12034)
Task0 End  (13035)
Task1 Start(13035)
Task1 End  (14035)
Task2 Start(14035)
Task2 End  (15035)
...

引数のDelayは同じですが、実行されているのはTask0が終了してから10000ミリ秒後です。 つまりタスクが終了してから、再実行されるまでの期間を指定することが出来ます。

newScheduledThreadPool()を用いた場合でも、全てのタスクの処理が終了した後から、 指定した時間後にタスクの再処理を開始します。

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