Spring Tool Suite (STS)と Spring Boot で始める Web アプリケーション開発(1)

こんにちは。梶原です。

「Java の勉強として、ブラウザを利用して入出力するような Web アプリケーションを書いてみたい」という方、統合開発環境に Spring Tool Suite を利用して Spring MVC + Spring Boot で開発してみてはいかがでしょうか?
手早く Web アプリケーション環境を立ち上げられる機能が提供されています。

Spring Boot については TECHSCORE BLOG の記事「Spring Boot 入門」もご覧ください。

3回に分けて掲載します。

  • 第1回:STSのインストールと Spring Legacy プロジェクトを動かす
  • 第2回:Spring Starter プロジェクトを動かし画面に Hello World を表示する
  • 第3回:画面に入力した内容を画面に表示する

今更ながら

今 Spring Boot 入門について記事を書くというのは、もしかしたら技術的な目新しさに欠けるかも知れません。
しかし、我が社の Java 未経験の新人がたった数週間で(しかも、業務をしながら工夫して確保した自分の勉強用の時間で)動く画面を組み上げたのを目の当たりにして、驚きました。自動開発の仕組みが強力にサポートしているように思われました。また、開発ツールとして利用していたのが Spring に特化した統合開発環境である Spring Tool Suite (STS) である点にも興味を惹かれました。
そこで、私も STS で Spring Bootを触ってみることにしました。

この記事のゴール

Spring Tool Suite (STS) をインストールします。
STS に同梱されているサーバプログラムを実行して、まずは Spring Legacy プロジェクトを動かしてみます。ブラウザにデフォルト画面が表示されれば動作確認OKです。

STS が提供している開発環境の良さを実感できるはずです。
プロジェクトのアップデート や Maven install を実行するのでネットワーク環境によりますが、私はSTS のインストールが完了してからわずか数分で画面表示まで完了できました。

環境

  • Windows 10
  • Java 8
  • Spring Tool Suite (STS) 3.8.1

STS インストール

STS は Eclipse のプラグインとしても提供されていますが、せっかくの機会なので単体パッケージ版を利用しました。この記事でもパッケージ版を利用している前提で説明を行います。
ダウンロードは こちら から。
ダウンロードした書庫を解凍すればインストール完了です。

Java の設定

STS の起動には Java が必要です。
Java にパスが通っているかどうかは Java のバージョンを確認するコマンドを実行してみることで確認できます。
コマンドプロンプトを起動して「java -version」を打ち込みます。

コマンド実行でエラーになる場合や環境変数に何を設定したか不明な場合はシステムの環境変数を確認しておきましょう。
Windows 10 の場合は以下の手順で環境変数の設定画面を表示できます。

  • Windows ボタンを右クリックし、表示されるメニューの「システム」をクリック
  • 表示された画面の「システムの詳細設定」をクリック
  • 表示された「システムのプロパティ」画面の「詳細設定」タブの「環境変数」ボタンをクリック
  • 「システムの環境変数」の環境変数名を選択して「編集」ボタンをクリック(環境変数名が無く追加を行う場合は「新規」ボタンをクリック)

表示された「環境変数名の編集」画面で設定内容が確認できます。

Java の開発で設定が必要な環境変数は「Path」です。また、STS の起動には必要ありませんが「JAVA_HOME」が無い場合は設定を追加しておくことをお勧めします。今後 Java で開発を行う際に利用するプラグインが JAVA_HOME の設定を必要とする場合があるためです。

「Path」には JDK インストールフォルダの bin フォルダ(例:C:\Program Files\Java\jdk1.8.0_20\bin)、「JAVA_HOME」には JDK のインストールフォルダ(例:C:\Program Files\Java\jdk1.8.0_20)を設定します。

STS を起動

STS を起動します。
インストールしたフォルダ内に「sts-3.8.1.RELEASE」(※リリースバージョンによりフォルダ名が異なります)フォルダがあります。フォルダ内にある「STS.exe」をダブルクリックすると STS が起動します。
「Select a workspace」ダイアログが表示されるので、STS で作成するプロジェクトや設定を保存する場所を指定します。Eclipse での開発を経験されている方には見慣れた画面です。

Spring Legacy プロジェクト

Spring Legacy プロジェクトは Spring Boot 以外の Spring Framework で利用するプロジェクトです。
Spring Boot の場合は Spring Starter プロジェクトを利用します。

デフォルト画面が用意されており、1行もコードを書くことなくプロジェクトを起動することが出来ます。STS インストール後の動作確認もかねて、まずは Spring Legacy プロジェクトを動かしてみましょう。

プロジェクトを作成

手順は3つだけ。

  1. プロジェクトを作成
  2. プロジェクトをアップデート
  3. Maven install を実行

Eclipse でのプロジェクト作成を経験している方には慣れた作業ですね。

1. プロジェクトを作成

File メニュー > New > Spring Legacy Project をクリック。
 Spring Legacy Project をクリック

Project name:は「TestWebApp」とします。Templates:は「Simple Spring Web Maven」を選択。
プロジェクトの情報を入力

Finish ボタンをクリックすると、プロジェクト「TestWebApp」の作成が完了します。
プロジェクトの作成完了

2. プロジェクトをアップデート

作成したプロジェクト「TestWebApp」を右クリックし、Maven > Update Project… をクリック。
Maven > Update Project… をクリック

プロジェクト「TestWebApp」が選択されていることを確認して、OK ボタンをクリック。
OKボタをクリック

プロジェクト「TestWebApp」のアップデートが開始されます。

3. Maven install を実行

プロジェクト「TestWebApp」を右クリックし、Run As > 9 Maven install をクリック。
Run As > 9 Maven install をクリック

プロジェクト「TestWebApp」の Maven install が開始されます。

以上の手順でプロジェクトの作成は完了です。
すぐに利用できる状態なので、次の手順ではサーバを起動して画面にアクセスしてみます。

サーバを起動して画面にアクセス

STS にはサーバ「Pivotal tc Server Developer Edition」が同梱されています。
このサーバを利用してローカル環境でアプリケーションを実行して動作させてみます。

手順は3つだけ。

  1. サーバにプロジェクトを追加
  2. サーバを起動
  3. ブラウザでデフォルト画面にアクセス

1. サーバにプロジェクトを追加

サーバビューに表示されている「Pivotal tc Server Developer Edition」サーバを右クリックして Add and Remove… をクリック。
Add and Remove… をクリック

追加するプロジェクト「TestWebApp」を選択して Add > ボタンをクリック。
追加するプロジェクトを選択してAdd > ボタンをクリック

Configured: にプロジェクト「TestWebApp」が移ったのを確認して Finish ボタンをクリック。
内容を確認してFinishボタンをクリック

サーバにプロジェクト「TestWebApp」が追加されました。
サーバへのプロジェクト追加完了

2. サーバを起動

サーバビューの ▶ ボタンをクリックすると、サーバが起動されます。
サーバがstartedになりました

3. ブラウザでデフォルト画面にアクセス

デフォルト画面にアクセスします。
http://localhost:8080/TestWebApp/
デフォルト画面にアクセス

まだ実装が無いのでリンクをクリックすると 404 エラーが発生します。

サーバを停止

最後にサーバを停止しましょう。
サーバビューに表示されている停止ボタンをクリックするとサーバが停止されます。Console ビューにも同じボタンが表示されています。どちらでも構いません。
サーバを停止

サーバを停止

まとめ

STS は Eclipse ベースなので、Eclipse での開発経験がある人にとっては慣れ親しんだ操作で Spring Framework の開発に集中できそうです。
次回は Spring Starter プロジェクトを利用して Spring Boot で画面を表示してみます。

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