こんにちは、中山です(写真は私ではありません)。
これは TECHSCORE Advent Calendar 2015 の 20 日目の記事です。
入魂のコンテンツがどのくらい「じっくり」と読まれたのか、筆者としては気になりますよね?
というわけで、今回はコンテンツの熟読度合いの計測について考察してみます。
ウェブサービスの場合は?
最初にウェブサービスについて考えてみます。
広告商品には課金やレポートに Viewable Impression を導入しているものがあります。
広告を構成する要素の座標とスクロール量を用いた計算をすることで、この Viewable(= 広告が視認範囲に掲載された)を判定することが出来ます。
Viewable と判定された場合には、ビーコンと呼ばれるエンティティーへのリクエストを通じ、サーバにその旨を通知します。
この Viewable に時間軸を加えれば、熟読度合いの計測が出来そうですね。
解析ツール(ヒートマップ)などは、同様の手法で計測した情報を活用しています。
メールの場合は?
次にメールについて考えてみます。
テキストメール ……
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Content-Type: text/plain Content-Transfer-Encoding: 7bit Hello, World |
の場合、開封や熟読度合を外部から計測することはできません。
(メールアプリやウェブメールサービス提供者など、一部の事業者には可能かもしれませんね)
では HTML メールならばどうでしょうか?
残念ながら HTML メールでは JavaScript コードを実行できないため、上述 Viewable Impression と同様の手法を用いることは出来ません。
ならば、ビーコンリクエストを用いて何か計測できないかを考えてみましょう。
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Content-Type: text/html Content-Transfer-Encoding: 7bit <html> <body> <p>Hello, World</p> <img src="http://SERVER/PATH_TO_TRACKING_BEACON.gif?mail_id=100&user=aaa" /> </body> </html> |
下図は SynergyMarketing の国内配信の統計情報に基づき、メールの再現性とメールクライアントの割合を図示したものです。
このうち (2.2.2) 及び (2.2.1) の一部に該当するメールクライアントについては、ビーコンリクエストによるサーバへの通知が可能です。
実際にメールの開封トラッキングはこの方法で実現されています。
しかし、このままでは「開封」にとどまり、熟読度合を計測することは出来ません。
レスポンス遅延
ではビーコンリクエストに対して、レスポンスを遅延させることを考えてみます。
具体的には、レスポンス遅延中の接続を切断(= メールを閉じる)されるまでの時間を計測してみます。
例えば Apache の場合、
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%D : The time taken to serve the request, in microseconds. |
を用いてログにリクエスト処理時間を含めることが出来ます。
レスポンス遅延処理を ……
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<?php ignore_user_abort(FALSE); while (TRUE) { sleep(1); // PHP は ABORTED をクライアントへのレスポンス時に検知 echo ' '; flush(); ob_flush(); if (connection_aborted()) { break; } } ?> |
とした場合、ビーコンリクエストを含んだメールを閉じるまでの時間が %D として出力されます。
日本人が一分間に読める文字数は約 400~600 字程度なので、おおよそどこまで読まれたのかについても推定できます。
まとめ
DocSend というサービスをご存知でしょうか。
公開した資料についてどこまで読まれたのか、どのページがじっくりと閲覧されたのか、等々についてトラッキングできるサービスで、ページの行き来をリアルタイムで確認することもできます。
ここで得られる情報は、
- コンテンツの評価~改善
- マーケティングへの活用
(例えば、より強く興味を持ってくれた人を対象にリアクション)
に活用することが出来ます。
メールについても、熟読度合を計測することで上記のような活用を望めそうですね。
Comments
こちら How does Hubspot measure the Time Spent Viewing Email? という記事ですが
https://knowledge.hubspot.com/articles/kcs_article/email/how-does-hubspot-measure-the-time-spent-viewing-email
Hubspot では HTTP Redirection を繰り返すことで滞在時間を計測するようです。
接続断を待つ(記事の内容)ことと、HTTP Redirection を繰り返すことの本質的な差 = HTTP Redirection を使う理由って何でしょうかね !?
こうしないとメールクライアントが勝手に接続を切ってしまう、といった理由でもあるのでしょうか !?