はじめまして。
iNSIGHTBOX (インサイトボックス) というプロダクトの開発・運用を担当している坂井です。
個人で「はったりエンジニアの備忘録」というブログを書いています。
今回は TECHSCORE BLOG に書く機会をもらったので、
「社内で AWS を広めるためにやった 4 つのこと」というテーマで少し書いてみたいと思います。
iNSIGHTBOX と AWS
iNSIGHTBOX はもともとオンプレミスで運用されていましたが、
データ量の増加にインフラが追いつかなくなってきたため AWS への移行を決断しました。
移行の話は「JAWS-UG 三都物語 2014」で発表したスライドを見ていただければと思います。
AWS の検討は以前から行われていましたが、
お客様からお金をいただいてるプロダクトを AWS で運用するのは初めての試みでした。
中には AWS に懐疑的な人も少なからずいました。
そこで社内に AWS を広める活動を始めることにしました。
1. 勉強会を開いて、興味を持ってもらう
AWS がわからない人にその良さをいくら説明しても伝わりません。
そこで社内勉強会を開いて、まずは興味を持ってもらうことにしました。
ポイントはエンジニア向けの勉強会にしないこと。
ひとつのプロダクトには、営業、プロデューサー、サポート、バックオフィスなど
多くの人が関わって成り立っています。エンジニアはその一部分でしかありません。
エンジニアだけをターゲットにするよりも、多くの人を巻き込んだほうがより推進できると考えたのです。
またプロダクトを開発しているエンジニアの顔を知ってもらうという意図もありました。
200 名以上の社員がいると、顔と名前が一致しないのは仕方のないことです。
顔と名前を知ってもらうことは、プロダクトを応援してくれる人を増やすことにもなります。
この社内勉強会ですがこれまでに 7 回開催し、他部署の方も数多く参加してくれました。
2. AWS の事例を紹介する
営業さんは社内勉強会に参加してもらうよりも、
具体的な事例を紹介するほうが興味を持ってもらえました。
こういうときは AWS が公開している事例が役に立ちました。
ポイントはその人が普段使っていそうなアプリやサービスを選ぶこと。
たとえば Gunosy や ChatWork はいい事例ですね。
人は他人ごとにはまず興味を持ちません。
「いつも使っている」という自分ごとを突くことで興味を惹きやすくなります。
3. 役員を味方につける
新しいことにチャレンジするとき、誰しも失敗したときのことを考えて尻込みします。
保守的なチームなら「AWS やりたい!」と言っても二の足を踏むでしょう。
(幸い、私の上司は快諾してくれましたので苦労しませんでしたが)
新しいチャレンジは草の根的に進めてもうまくいきません。
AWS を社内に広めるには、経営層である役員の理解が欠かせません。
いくら現場で盛り上がっても、最終的な決定を下せる人が No! と言ってしまえば広まらないのです。
そこで CEO と COO に iNSIGHTBOX の取り組みをプレゼンする時間を作ってもらいました。
(上司の許可を取らずに役員に直談判したのはいい思い出です 笑)
また去年から CTO のポジションができました。
CTO には AWS のソリューションアーキテクトの方とのコネクションを作ったり、
AWS が開催するイベントに誘ったり、技術情報を積極的に共有しました。
4. 社内で AWS のエバンジェリストになる
エバンジェリストは大袈裟かもしれませんが、
「AWS でわからないことがあればアイツに聞けばいい」というポジションを目指しました。
これまで紹介した 3 つの取り組みもこの一環です。
まだ使ったことがない人にしてみれば AWS は不安の塊です。
コスト見積もりもオンプレミスとまるで違いますし、アーキテクチャ設計もクラウドならでは。
この不安を解いて AWS を使ってみようと思ってもらえれば成功です。
また、個人ブログでも積極的に AWS の情報を発信していたところ、
日経 SYSTEMS から取材依頼という貴重な機会をいただけました。
「リソース追加に頼らず解決するクラウドの性能問題」というテーマで、
オンプレミス上のプロダクトを AWS に移行するときに直面した問題とその解決策を
記事にしていただきました(特集のサンプル)。
積極的に情報共有したおかげで、AWS の話は自然と自分の耳に入ってくるようになりました。
自分が持っている情報を惜しみなく共有することで、得をするのは自分だということを学びました。
まとめ
AWS をどのように社内に広めてきたかまとめてみました。
これから AWS を使っていこうという方の参考になれば幸いです。
余談ですが、AWS Summit Tokyo 2015 のキーノート発表で興味深い発言がありました。
「重力」には逆らえない。
社内の反対派を説得する必要などない。
放っておいても、その時は必ずやって来る。
それでは、楽しい AWS ライフを!